日本茶の起源は、1191年に臨済宗の開祖・栄西禅師が宋より茶の種子を持ち帰ったことがきっかけです。ここ掛川市では、戦国時代末期に和田岡村高田の永住寺改築の時、檀徒数名が京都方面の寺院を視察した際に茶種子を持ち帰り、和田岡村吉岡原に播いたのが始まりと伝えられています。
掛川市を中心とした地域は平坦地が多く日照時間が長いために、カテキンが豊富なお茶に育ちます。以前は一般的な煎茶がつくられていましたが、日差しを沢山浴びると葉肉が厚くなり、カテキン成分による渋みが強い茶葉になってしまうのが難点でした。そこで渋みを抑えたまろやかな味を求めて研究・改良を重ね、昭和30年代に編み出されたのが「深蒸し製法」です。茶葉の特性を活かしたこの製法は、昭和50年頃には掛川市内の多くの茶工場で取り入れられるようになりました。現在、深蒸し茶はその美味しさや健康成分が多くの方に親しまれ、様々なメディアに取り上げられるほど有名なお茶になりました。
「深蒸し製法」とは、通常の煎茶より長い時間(2~3倍)をかけて蒸す製法です。
蒸し時間が長いため茶葉が細かく砕けて粉っぽい見た目になり、湯呑み茶碗に淹れると黄色みを帯びた濃緑色になります。そうすることで苦みや渋みが抑えられ、甘みやコクが増し、香り豊かな美味しいお茶に仕上がるのです。
さらに茶葉が細かくなったことによって通常のお茶では茶殻として捨てられてしまう、 不溶性成分の食物繊維やβカロテン・クロロフィル・ミネラルなどが抽出されます。これらを含めたお茶の成分には、抗がん効果・体脂肪低減効果・虫歯予防・抗菌作用・血圧上昇抑制効果など、数多くの健康効果があると言われています。
茶園で収穫された茶葉が加工されて製茶となり皆様のお手元に届くまでの製造工程をご紹介いたします。
お茶の本場静岡県の中でも屈指の茶産地として知られる掛川市は、数あるお茶の品評会の中でも最も権威のある全国茶品評会「深蒸し煎茶の部」で産地賞を全国最多の回数を受賞しており、日本一の深蒸し茶産地として認められました。穏やかな気候、適度な雨量といった茶栽培に適した自然環境とともにお茶づくりに掛ける情熱も全国一です。
静岡県に広がる茶畑の風景は、訪れる人々に静岡らしさを感じさせてくれます。その茶畑の周囲をよく見ると、茶園に敷く草を刈り取る「茶草場」が点在しているのがわかります。この茶草場は農業が近代化した今でも、掛川市を中心とするごく一部の地域でのみ見られる風景で、より高品質なお茶を作ろうとする農家の方々の努力により守られています。その努力のおかげで、茶草場はたくさんの動植物が生息する自然の宝庫で、世界的にも貴重な場所となっています。このように農業と生物多様性が同じ方向を向いて両立していることが世界から注目され、平成25年、【静岡の茶草場農法】は世界農業遺産に認定されました。
世界農業遺産とは
・掛川観光協会 静岡の茶草場農法・農林水産省 世界農業遺産
イタリアで開催された「ミラノ国際博覧会」で世界農業遺産「静岡の茶草場農法」が出展されたのを機会に、掛川市の松井三郎市長が2015年10月にバチカン市国のローマ法王庁を表敬訪問いたしました。
同年3月に掛川市で開催された「バチカンより日本へ祈りのレクイエム」の際に訪問された、ローマカトリック協会の聖パオロ大聖堂名誉大司教であるフランチェスコ・モンテリーズィ枢機卿に深蒸し掛川茶をはじめ茶道具一式を贈呈し、ローマ法王へ献上して頂けるよう依頼しました。これは日本の茶文化をローマに伝えていこうと、掛川市が「茶文化プロジェクト」に参加する岩手県奥州市、秋田県仙北市、岐阜県多治見市に呼びかけ、実現しました。
献上したのは掛川市の「深蒸し掛川茶 天葉プレミアムセット」、奥州市の「南部鉄器の鉄瓶」、仙北市の「樺細工の茶筒」、多治見市の「美濃焼の急須と湯のみセット」各3セットです。
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